2023年6月22日 和歌山県紀の川市K様邸 完了です。
今回は、洋室一部屋の壁紙張替です。
設計士さんからのご依頼で京都にあります老舗「龍村美術織物」の絹で織られた一点ものの壁紙を施工させていただきました。
張替のクロス下地はベニヤ下地。以前の壁紙を剥がすと木の灰汁がかなり出ていました。灰汁止めを行っていない証拠ですね。
今回の織物クロスも、私たちが着用している衣服と同じように、非常に通気性があり外気や下地の影響を受けやすい材質です。
クロスエスは必ずベニヤ下地や生木にクロスを施工する際は灰汁止めを行います。
灰汁止めに用いるのはウォールボンド工業のシーラーセットアップ。
下地にしっかり浸透し灰汁止め、吸水調整、接着補強の役割を果たしてくれる万能シーラーです。
ベニヤ板の継目にはところどころクラック(ひび割れ)が発生し、先ずはそれをすべてVカット。
その後、耐震パテ(ニットータフクラック)でひび割れ対策を施し、その後下塗り上塗りの3回仕上げです。
基本は織物クロスは厚みがあり下地の凸凹が出にくいとされていますが、
どんな壁紙であろうと最善の策を講じるのがクロスエスのモットーです。
下地材が完全乾燥した後、クロス張り。
天井はサンゲツ社のSGB2134 こちらもD級クロスの織物です。
壁は冒頭でお話させてもらった龍村美術織物のクロス一点ものなので品番はありません。
1mあたり¥15,000の超高級壁紙です。
織物クロスは通気性が高いため、壁紙の裏うちの紙に糊を塗布後短い時間で乾燥が始まります。
糊を塗布するタイミングを見誤ると命取りです。施工時間はスピードが求められますし、
表面を汚してしまうとその汚れが取れないなどの厳しい条件があります。
そして素材自体が高級なので失敗は許されないというプレッシャーとの戦いです。
今回は裏打ち紙にフィルムを加工する「ラッピング」で施工いたしました。
織物の場合、ラッピングをしてもあまり乾燥時間に差はないのですが、ラッピングをする目的としては糊が壁紙の表面に回ることを回避することと、糊の目をつぶすことで糊目を出さないという目的があります。織物クロスは糊の塗布量も多めなので糊目が出やすいんですね。
今回使用した壁紙の糊は、
ウォールボンド工業の「ウォールボンド100」これに「ウォールボンド200」を3分の1の割合で配合したものを使用いたしました。
原液使用の、変色の少ないタイプの糊です。
織物や珪藻土クロスなどの通気性の高い「役物」は、安価な普及品の糊では後々変色や剥がれの原因を大きく受けます。
クロスエスはどのような現場でも、接着剤にこだわり「綺麗が長持ち」する施工を提供いたします。
龍村美術織物の絹織りの壁紙は圧倒的な存在感でした。
継目が目立ちますが、これも織物クロス特有の風合い。
職人としてとても貴重な経験でした。
この度は誠にありがとうございました。