厚みのないペンキみたいなクロスを張る時の注意点

クロス職人の坂口です。(*^-^*)

 

壁紙ってそれぞれ厚みが違います。

分厚い壁紙と薄い壁紙に分かれるんです。

ではどちらが施工しやすいか?

答えは分厚い壁紙です。

厚みがあれば、少々下地が傷んでいる場合でも綺麗に仕上がるし、

継ぎ目は綺麗につなげることができるし、

施工のスピードも速い。

薄い壁紙はその逆、下地の傷みはもろに透けてしまうし、継ぎ目処理も難しいし、施工は時間がかかる。

職人さんは薄いクロスに当たると、「ハズレの現場や」なんてぼやいたりします。

 

最近はDIYで壁紙張りにチャレンジする方も多くいらっしゃいます。

見た目や、デザイン重視で壁紙を注文すると、薄いクロスが自宅に届いて、難易度MaxでDIY不可能。

そんな場合もあるので注意が必要です。

 

先日、和歌山県紀の川市の現場で、国産壁紙の中でも一番薄いとされるクロスを張ってきました。

ヘリテージクロスとも呼ばれています。

クロスなんだけど、張りあがると塗装にしか見えないクロスです。

今回はサンゲツTHシリーズです。

兎に角、下地処理に時間がかかります。

楽しくないパテをいかに時間をかけてやるか。

職人と壁との我慢比べですね。(-_-;)

 

最近このクロスを張る機会が多いです。

仕事を頂いている元請けさんの、設計の先生がこのクロスが大好きなんです。

だからこのクロスが選ばれても最近は全然ビビらなくなりました。(笑)

 

では僕の経験にもとづいた、このヘリテージクロスを張る際の注意点をあげていきます。

 

①下地はツルツルに


石膏ボードの目地痩せや、ビスパテのうち忘れは厳禁。

よくあるのが目地にかかったビスのパテをするのを忘れる。

下パテを入れる前にビスパテを回る方が忘れが無くて安心です。

このクロスはちょっとした凹凸でもくっきりでるので、張る直前にもしっかりケレン作業

下地を完璧にしないと張れません。

こんな超絶薄いクロスは、パテは3回するべきだという職人さんもいますが、

僕は基本2回でも収まるという考えです。大きい凸凹、目地痩せなどはもちろん3回打ちますが。

ビスパテは2回が基本です。

そして研磨はドライウォールサンダー必須、こすり忘れは1発アウトです。

②たたみしわをつけない


基本的に糊付けの際は大きく畳むことを意識して、極力たたみシワはつけないようにします。

ラッピングが理想ですが、大抵の現場はラップ自体の費用と

糊付けのタイムコストが取れない現場がほとんどなので。

ラッピングをしない場合は必ず天と地にカットテープ。相剥ぎ防止にもなります。

そして大きく畳んで、無駄な折目を減らすことが大切です。

 

③糊は薄塗り、必ず合成樹脂エマルジョン入りで!


このクロスは澱粉だけの糊じゃ全然裏紙に馴染んでいかないんです。

ずっと裏紙がうにょうにょ状態です。

最低でもスーパーグルー@、または希釈糊最強のマイスターAが個人的におすすめ。

でも完璧を求めるならWB200が最強かな。

それか大力さんのスーパークロスダイン。ここはめっちゃ悩む。

両者とも高価な糊なので、糊のコストが半端ないです。

 

そんな予算、どこにあるんだ!と同業者の方々に叱られそうですが・・・・(;^_^A

糊の塗布量に関してですが、必ず糊厚はカットテープ側は最小に、下敷き側は、それより半メモリ増やします。

糊厚が薄くても正しい糊の選択をすれば、案外下地との密着性は良いんです。

糊厚が高いとジョイントから糊がはみ出るのでよくない。

そして糊の水分がパテに吸われて下地が映りやすくなる。

どんなクロスでも適正な糊厚は意識したい所です。

オープンタイムは夏場で15分、冬場は1時間くらい。

もちろん使用する糊や温度、湿度などでオープンタイムは変わってきます。

折シワがつきやすく相剥ぎしやすいクロスなので、前日に付け置きはできません。

糊付け後は速やかにビニール袋やカンガルー、ハニーボックス等で密封します。

その中に湿らせたスポンジなんかを入れておくと乾き防止に効果的です。

④このクロスの張り方


張り方ですが、表面に糊がついたらテカるので、汚すのはNG。汚れた手で触るのも✖。

ペーパー刷りながら貼るのはご法度とされています。

ジョイントは定規に対して、カッターを角度ゼロでカット。刃が斜めに入るとかぶって見えます。

ローラーがけは丁寧に、しっかり糊のクシ目をつぶして被膜を形成してあげましょう。

天井張りの際クロスを広げる時に、クラックみたいなしわが入る危険があるので、

出来るだけ天井を広げた状態から貼りだすのがいいと思います。長さ3600の天井なら2人で全部広げてしまう方がいいです。

出角は決まりにくいですね、天端を切るつもりで上に上げて巻いて、出角に対して素直に巻きます。

ジョイントは少し置いた方がいいです。

置きすぎはジョイント突きあがりの原因になるので夏場5分、冬場15分くらいが理想かなと思います。

張るのも神経使いますが、ドレープや珪藻土のような役物に比べれば・・・

慣れれば普通のビニクロ感覚で張れます。

 

毎日ブログを書いてた頃はこんなマニアックな記事をよく書いていました。

自分自身の技術面での復習にもなるので、

こんなブログもどんどん書いていってもいいかなと思う今日この頃です。(*^-^*)

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