クロス職人の坂口です。(^^♪
先日、和歌山市のM様邸よりご依頼いただき、
珪藻土クロス(サンゲツ SGB2289)を施工してまいりました。
珪藻土クロスも大きく分けて2種類あり、紙っぽい質感のものもあれば、砂壁っぽいのもあります。
今回は砂壁っぽい感じの珪藻土クロスです。
いきなりですが・・・
珪藻土クロスって、クロス職人から、正直めちゃくちゃ嫌われてます。
それはなぜか。
一般的なビニル壁紙に比べて施工の難易度が高く、道具も手間も神経も使うからです。
クロス自体の価格も上がるし、手間がかかる分、当然ながら工賃もそれなりにいただくわけですが……
それでも「よっしゃ僕が張るで!」って前のめりになる職人は、正直あまりいません。
今回のブログは、その“張りにくい”珪藻土クロスの施工ポイントを
僕なりの視点で解説していきます。
「まだ張ったことがなくて不安…」
そんな職人さんにぜひ見てもらいたい内容です。
*まずは道具を入念に洗っておく
当たり前やんって言われそうですが、これは大事です。
ビニクロなら地ベラがちょっと汚れててもまぁ問題なく施工できることが多いですが、
珪藻土クロスは神経を研ぎ澄まして張らなければいけないので、余計なノイズは排除しておくことをお勧めします。
その意味でも、道具はツルツル・ピカピカに磨き上げておく。
精神統一の意味あいもあります。
*糊付けの注意点
珪藻土クロスには、たいていラベルに「糊付け塗布量とオープンタイムに注意」と書かれています。
メーカーに対して毎回思うんですけど、「何をどう注意すればえーねん!」と、
正直ツッコミたくなります(笑)
で、実際のところですが、珪藻土クロスは通気性が高くて糊が表に浮いてきやすい。
そうなると壁紙が柔らかくなりすぎて張りづらい。
でも逆に、糊を薄くしすぎるとすぐ乾いてしまって材料がパーになります。
僕が使ってるのHIβ-NEOという糊付け機で、
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カットテープ側:メモリ2
-
下敷き側:メモリ2.5
機械によってクセはあると思いますが、ビニクロより少し濃いめがちょうどいい感じです。
*折りジワが残るので、基本はラッピング推奨
折りジワが残りやすいので、基本的には“折らずにラッピング”で。
折りたたむ場合は、最初の折り返しは無しで、
天地両方にカットテープ張ってください。天テープは天端カットの際に糊がつかないようにするために必要です。
特に地テープは重要で、機械から出る最初の折り部分が入隅にきたときに、表面が飛んでしまうリスクを軽減してくれます。
*糊は「原液使用」一択
使用する糊はウォールボンド100。
安い希釈糊は✖。
塩分濃度が高くて、被膜も割れて変色しやすい。
結果、ジョイントや表面から色が変わってくるんですよね。
これは施工ミスじゃなく、副資材の選定ミス。
「糊はケチるな」僕は糊の選定も職人の腕の一部だと思っています。
「クロスは半製品、職人の腕と知識があわさって初めて商品となる。」
僕が大切にしている師匠の言葉です。
*オープンタイムは15分〜20分
糊を塗ってからクロスを貼り出すまでの時間=オープンタイム。
これは15分〜20分が目安。
30〜40分放置すると、表面まで糊抜けしてクロスが柔らかくなりすぎて、
クロスの表面が一気に剥がれやすくなります。
最初は慣れないと思うので、焦らず1枚ずついくのがいいと思います。
調子に乗ってジャンジャン糊を塗ってしまうと、焦りを呼び、いい仕事ができないので注意してください。
僕は経験済みです。(笑)
*張り付け作業は「羊」の気持ちで
珪藻土クロスは、表面がとにかくデリケート。
撫で刷毛も柔らかい毛を使いましょう。
おすすめは「羊毛刷毛」。
これは神奈川の師匠に教えてもらったんですが、ほんまに優しい。
クロスが「気持ちええわぁ〜」って言ってる気がするくらい。
1本は持っておく価値ありです。
*ジョイントの処理はタイミング命
珪藻土クロスは、糊付け後と乾燥後の伸縮率が一番高いといわれています。
なので乾燥後のジョイントの目透きが起こります。
僕は、乾燥の伸縮幅を少なくするため、貼り付けて15分後くらいにジョイントカットしてます。
よく切れる黒刃でカットして、ジョイント部分は落とし込み、
その後残った空気を優しくローラーで抜いていくイメージです。
ローラーの種類はジュラコンやフッ素、高分子ポリエチレンなどのローラー使用不可
ウレタンローラー、ソフトウレタンの柔らかいローラーをしようします。
それでもゴリゴリやりすぎると、ジョイントだけ白くなるので要注意です。
*端部の処理は「厚切り」が基本
珪藻土クロスはコーキング不可。
だから、端部処理は厚切りです。
僕は1.2mmの地ベラを使ってます。
まとめ
珪藻土クロスは、熟練の職人さんでもめちゃくちゃ神経使います。
正直、20m一人で張るだけでも1日仕事です。
疲れます(笑)
でも、仕上がったときの雰囲気はやっぱり格別。
ビニルクロスには出せない質感と空気感。
このブログが若手の職人さんや、これから挑戦する人の参考になればうれしいです。
焦らず、慌てず、1枚ずつ丁寧に
それが一番の近道です。検討を祈ります!!