研修30日でクロス職人になれる?それについて思う事…

 


こんにちは。

和歌山で壁紙張り替え専門店「クロスエス」を営んでいる坂口です。

先日、YouTubeを見ていると、上場企業の不動産リフォーム会社さんが、現場未経験者を30日間の研修でクロス職人の50%の技術を習得させ、営業支援を受けながら独立できるというフランチャイズの仕組みを知りました。

技術を教えるだけでなく、仕事を取る仕組みまで用意されている。職人の独立を支援するという意味では、興味深い取り組みだと思います。

ただ、20歳からクロスの仕事を始め、27年ほど現場で経験を積んできた僕には、気になることもありました。

今回は、その仕組みを批判するというよりも、現場で仕事をしてきた職人の立場から、技術と営業、そしてこれからのクロス職人について考えてみたいと思います。

30日間で技術を身につけることと、一人前になることは違う

まず気になるのは、30日間の研修で具体的にどこまでできるようになるのか、ということです。

クロスを貼る基本的な技術を覚えることと、さまざまな現場で問題なく対応できることは、同じではありません。

実際の現場では、壁の下地が傷んでいたり、古い壁紙をめくると想定外の問題が出てきたりすることもあります。

ただ貼れば終わりではなく、その場の状況を判断し、適切な施工方法を選ぶ必要があります。

もちろん、30日間で技術を学ぶこと自体を否定しているわけではありません。

大切なのは、研修を終えた時点で何ができるのか。そして、どんな仕事なら一人で任せられるのかを明確にすることだと思います。

同じクロス職人でも、経験してきた現場によって違う。

昔、賃貸のワンルームやマンションのクロス工事を中心にしていた職人さんが、5尺の脚立に上ったとき、足をガクガク震わせていたことがありました。

その姿を見て、「この人は、こういう高さの脚立に慣れていないんだな」と驚いたことを覚えています。

もちろん、それだけで技術が低いと判断できるわけではありません。

賃貸の現場には、限られた時間で効率よく仕上げる技術があります。一方で、一般のお客様のお宅では、家具や生活への配慮、仕上がりの説明、細かなご要望への対応など、別の経験も求められます。

同じクロス職人でも、経験してきた現場によって得意分野や対応できる範囲は違います。

だからこそ、単に「クロスが貼れる」というだけでなく、どんな現場を経験し、どこまで対応できるのかが大切だと考えています。

営業を任せられる仕組みには価値がある。でも、その先が大切

僕自身、長年現場でクロスを貼ってきましたが、営業に本格的に取り組み始めたのはここ数年です。

職人の中には、技術には自信があっても、営業や集客が苦手な人がたくさんいます。

そのため、仕事を取る仕組みを用意してもらえることには、大きな価値があると思います。

ただ、僕が気になるのは、仕事を紹介した後のことです。

施工不良が起きたら、誰が原因を判断するのか。お客様からクレームが入ったら、誰が説明し、どのように解決するのか。

こうした場面では、現場経験や技術的な判断が必要になることがあります。

営業の仕組みだけでなく、技術指導や品質管理、トラブルが起きたときの支援まで整っているか。独立を考えるなら、そこまで確認しておきたいところです。

月商100万円という数字だけでは判断できない

収益についても同じです。

仮に月商100万円で50万円が残るという話があっても、何の費用を差し引いた数字なのかによって、実際の意味は変わります。

材料費、車両費、加盟料などの経費に加え、税金や、働いた本人の労働に対する対価も考える必要があります。

最初にかかる費用だけでなく、毎月の支払い、仕事の供給条件、独立後のサポート内容まで確認したうえで、自分に合った仕組みなのかを判断することが大切です。

売上が大きいことと、安定して利益を残せることは別の話です。

これからクロス職人の仕事は細分化されていく

僕は、これからクロス職人の仕事は、もっと細分化されていくと思っています。

  • 賃貸物件の張り替えを、スピードと効率でこなす職人
  • 一般のお客様に説明や提案をしながら施工する職人
  • 難しい下地や複雑な施工に対応できる職人
  • 職人をまとめ、現場全体を管理する人

それぞれに役割があり、どれが上というわけではありません。

ただ、基本的な施工ができる人が増えたとしても、難しい現場に対応できる人、きれいな仕上がりを追求できる人、問題が起きたときに解決できる人の価値は残るはずです。

仕事が細分化されるほど、それぞれの分野で経験と技術を積んだ職人が必要になると考えています。

技術と営業、どちらも大切

僕が伝えたいのは、技術か営業か、どちらか一方が大切という話ではありません。

技術があっても仕事が取れなければ、商売を続けるのは難しい。

反対に、仕事を取る仕組みがあっても、現場でお客様に満足していただけなければ、長く続けることはできません。

だからこそ、職人として技術を磨くことに加えて、営業や経営についても学ぶことが大切だと思っています。

今回のようなフランチャイズの仕組みが、自分に合っている人もいるでしょう。

ただ、始める前には、研修でどこまで学べるのか、独立後にどんな支援があるのか、トラブルが起きたときにどう対応してもらえるのかを確認してほしいと思います。

職人になるためのスタートを切ることと、職人として長く仕事を続けていくことは別です。

これからクロス職人を目指す人にも、今現場で頑張っている職人さんにも、技術と営業の両方を考えるきっかけになればうれしいです。

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