こんにちは。クロス職人の坂口です。
先日、InstagramのDMで、同業の職人さんからご相談をいただきました。
内容は、洋金箔の壁紙を施工したところ、浮きが起きてしまったというものです。
今回の壁紙は、サンゲツのエクセレクトに掲載されている 「SGM1182」。
洋金箔を使った、幅92cm・7.4m巻きの特殊な壁紙です。
一般的な量産クロスや普及品の壁紙とは、施工時に気をつけるポイントが違います。
今回は、普段のホームページや動画ではあまり詳しくお話ししていない、
こうした特殊な壁紙の施工について、僕の経験も交えながら書いてみたいと思います。
箔壁紙は、ただ貼ればいいというものではない
壁紙の施工は、材料が変われば施工方法や注意点も変わります。
特に箔を使った壁紙は、表面の扱いだけでなく、接着剤の選定や塗り方、オープンタイム、
下地の状態など、細かな部分まで気を配る必要があります。
例えば、サンゲツのSGM1182についても、メーカーの施工上の注意では、接着剤の塗布方法や乾燥時間、
ジョイントの納め方、表面に糊や汗が付着したときの処置などが指定されています。
つまり、普段のクロスと同じ感覚で施工してしまうと、思わぬ施工不良につながる可能性があるということです。
また、箔壁紙のような材料では、和紙を使った下張りや袋貼りといった伝統的な施工方法が関係する場合もあります。
僕が習ったのは、今回の洋金箔に関しては、材料に真鍮が使用されているため、袋張りせず壁に直貼りすると、
金の輝きが失われ変色し、黄土色に近いぐらいに変色してしまうということでした。
ただし、すべての箔壁紙に同じ施工方法が当てはまるわけではありません。アルミなどは変色のリスクはありません
材料の種類や仕様、下地によって条件は変わるため、メーカーの施工要領を確認したうえで判断することが大切です。
ていうかメーカーの施工要領所にも書いてないことが多いんですけどね💦
ベニヤ板への施工にも注意が必要
もうひとつ、気をつけたいのが下地です。
ベニヤ板などの木質下地に施工する場合、下地の状態やアクによる変色など、通常の石膏ボードとは違ったリスクを考える必要があります。
見た目には問題なく貼れていたとしても、それだけで施工が正しかったとは限りません。
施工直後の仕上がりだけでなく、時間が経ったときにどうなるかまで考えて、材料や下地に合った施工方法を選ぶことが大切だと思っています。
実は僕自身も、以前はこうした知識が十分ではありませんでした。
施工したときには「どうや、きれいやろ!」と思っていても、あとから専門的な知識を学び、初めて理解できることがあります。
職人を長くやっていても、知らないことはまだまだあります。
だからこそ、経験だけで判断するのではなく、
材料の特性や正しい施工方法を学び続けることが大切なんだと思います。
難しい施工には、それに見合った施工費が必要
箔壁紙のような特殊な材料は、一般的な壁紙と比べて施工の難易度が高く、通常より施工費がかかる場合もあります。
これは、ただ高級な材料だからという理由だけではありません。
材料の取り扱いに注意が必要で、施工前の準備から接着剤の選定、貼り方、仕上げまで、通常のクロスとは違う知識や技術が求められるからです。
それだけの知識や技術を身につけるには、時間も経験も必要です。
そして、施工にはリスクも伴います。
だから僕は、こうした専門的な施工については、きちんと知識と経験のある職人さんにお願いし、それに見合った施工費を支払うことが大切だと思っています。
せっかく難しい技術を身につけていても、施工費が安すぎれば、その技術を持つ職人さんに十分な対価が支払われません。
元請けだけが利益を得るのではなく、実際に施工する職人にも、技術に見合った報酬が支払われる。
そんな業界になってほしいと思っています。
職人同士だからこそ、共有できる知識がある
僕はこれまで、いろいろな職人さんに質問をして、たくさんのことを教えてもらってきました。
自分ひとりでは気づけなかったことも、経験豊富な職人さんに教えてもらうことで、理解できるようになりました。
だから今度は、自分が知っていることを、誰かに伝えていけたらと思っています。
例えば、今回のような箔壁紙の施工だけではありません。
- 壁紙に合わせた糊の選定
- コアシートの上手な使い方
- 先和紙など、現場で役立つ施工の知識
- 放置ジョイントなど、仕上がりに関わる技術
- 「貼れない壁はない」という考え方につながる、さまざまな施工の工夫
- 表装技能士試験に向けた勉強や実技のノウハウ
こうしたことも、僕がこれまで学んできたことの一部です。
もちろん、僕がすべてを知っているわけではありません。
自分が答えられることはお伝えしますし、分からないことについては、
もっと詳しい職人さんにつなぐこともできます。
今は僕自身が毎日現場に出ているわけではありませんが、
職人さん同士をつなぐことや、知識を共有することはできると思っています。
すべてを動画やブログで公開するのが難しいこともあります。
実際の現場で経験して初めて分かることや、職人同士だからこそ直接伝えられることもあるからです。
分からないことがあれば、気軽に聞いてください
今回DMをくださった職人さんのように、施工で困ったことや、分からないことがあれば、気軽に相談してもらえたらと思っています。
僕に分かることなら、できる限りお答えします。
僕自身が分からないことでも、詳しい方に相談したり、つないだりできるかもしれません。
職人の仕事は、現場で技術を磨くだけでなく、知識を共有することで、もっと良くしていけると思っています。
僕もまだまだ勉強中です。
これまで自分が教えてもらってきたように、今度は自分も、誰かの役に立てる職人でありたい。
そんな思いで、これからも発信を続けていきます。
クロス職人の坂口でした。
